ローヤルゼリーの採れる場所
ミツバチは春から夏にかけて繁殖期に入ります。繁殖期に入ると、ミツバチは「王台」と呼ばれる女王バチを育てるための特別な場所を巣の中に作ります。王台が作られると、働きバチは女王バチのエサとなるローヤルゼリーを王台へと集めるようになります。
ローヤルゼリーはこの王台から採取されます。ミツバチの生殖機能の一環として自然に作られる王台は、「自然王台」と呼ばれています。
より効率的にローヤルゼリーを生産するために
1つの王台で取れるローヤルゼリーは約250~300mgというわずかな量でしかありません。
それだけにローヤルゼリーは貴重なのですが、製品としてローヤルゼリーを販売するためには、より効率的なローヤルゼリーの採取方法が必要となります。
ローヤルゼリーを生産する養蜂家の試行錯誤で生まれたのが、「人工王台」を利用したローヤルゼリーの採取方法です。
ミツバチの習性を利用した採取方法
ミツバチは、女王バチが巣からいなくなると、新たに王台をつくり女王バチを産み出そうとします。この習性を利用して産み出されるのが人工王台です。
巣から女王バチを除き、コロニーの中にわざと女王バチのいない状態を作ります。すると、残ったミツバチは孵化してまだ3日経っていない幼虫を探し、その幼虫のいる場所を王台へと作り替えていきます。この新しい王台は、女王バチを除去した約24時間以内には作成されるという早さです。
それだけ、ミツバチのコロニーにとって女王バチが不可欠な存在なのです。
多くの養蜂場では、女王バチを除去した後に自然の王台と同じ大きさのプラスティック製の人工王台を作り、その中に孵化して間もない幼虫をセットすることで、より多くのローヤルゼリーができるように工夫しています。
ミツバチの幼虫を人工王台の中へ
養蜂場では、女王バチのいない巣箱へ、孵化して間もない小さな幼虫を入れた人工王台をセットします。この小さな幼虫は、直径5.5mmというミツバチの小さな巣穴の底から、移虫針という専用の器具を使って取り出されたものです。
孵化したばかりのミツバチの幼虫は体長が1mm程度しかなく、手荒に扱うとすぐに潰れてしまうほどデリケートです。けれどあまり時間がかかりすぎてしまうと、幼虫の水分がなくなり死んでしまうので、速度も必要とされる熟練の作業となります。
人工王台からローヤルゼリーを採取する
女王バチのいない巣箱へセットされた人工王台は、72時間たった後に巣箱の中から取り出されます。体長が1mm程度しかなかった幼虫は1cmほどに大きくなり、ローヤルゼリーもまた満たされた状態になっています。その幼虫をピンセットで取り出した後に、ローヤルゼリーを採取します。
ローヤルゼリーを採取した後の人工王台へは、孵化したばかりの幼虫が入れられ、ふたたび巣箱へとセットされます。
1度の採取でわずかしか取れない貴重なローヤルゼリー
一つ一つが手作業で、手間ひまかけて行われるローヤルゼリーの採取。1つの王台で取れるローヤルゼリーはわずか250~300mgで、1つの巣箱に人工王台を40個作成したとしても、採れるローヤルゼリーは1回につきわずか10g~12gにしかなりません。
養蜂場では、巣箱を3つのグループに分けて、毎日休みなくローヤルゼリーの採取を行っています。希少だからこそ栄養分も高いローヤルゼリーですので、大事に味わいたいものです。